大腸がんの進行と末期症状|家族が知るべき遺品整理の備え

「病気が進行すると、どんな症状が出るのか?」
「末期には、どんなケアが必要になるのか?」
家族として、知っておくべきことは多いですが、現実には 治療や介護に追われるうちに、じっくり向き合う時間が取れない ことも少なくありません。

しかし、病気の進行を理解し、あらかじめ心の準備をしておくことで、患者さんの希望を尊重しながら、家族が適切に支えられる ようになります。
ここでは、大腸がんがどのように進行し、末期にはどのような症状が現れるのか を、できるだけわかりやすく解説していきます。
「何が起こるかわからない」という不安を少しでも減らし、家族として最適な選択ができるように、一緒に確認していきましょう。
大腸がんの進行とステージ分類
大腸がんは、進行度に応じて5つのステージ(0期~IV期) に分類されます。
- 0期・I期(早期)
がんが粘膜内や浅い層にとどまり、自覚症状がほとんどない。
(発見されれば、手術で根治できる可能性が高い) - II期・III期(進行期)
がんが腸の壁の深くまで広がり、リンパ節に転移することもある。
(便秘・下痢・血便・腹痛などの症状が現れ始める) - IV期(末期)
肝臓や肺など遠隔の臓器に転移し、治療が難しくなる。
(腸閉塞・激しい腹痛・全身の衰弱などが進行)
大腸がんは進行が遅いとされる一方、自覚症状が出るころには進行しているケースも多い ため、ステージIII以降で発見されることも少なくありません。
末期の大腸がんで現れる症状
末期の大腸がんでは、がんの進行によって以下のような症状が現れます。
1. 腸閉塞(イレウス)
がんが腸を塞ぐことで、便が出なくなり、激しい腹痛や嘔吐 を引き起こします。
場合によっては緊急手術が必要になることもあります。
2. 体重減少と極度の倦怠感
栄養が吸収されにくくなり、体力が著しく低下。食欲がなくなり、寝たきりに近づく こともあります。
3. 多臓器転移による症状
大腸がんは 肝臓・肺・骨・脳 に転移しやすく、それぞれ特有の症状を伴います。
- 肝臓転移 → 黄疸・腹水・むくみ
- 肺転移 → 咳・血痰・呼吸困難
- 骨転移 → 強い骨の痛み・骨折
- 脳転移 → 手足の麻痺・意識障害
「がんがどこに転移しているか」によって、家族が対応すべきケアも変わります。
知っておくべき「大腸がん末期のリアル」
末期の大腸がんでは、家族として以下のような課題に向き合うことになります。
- 突然の容体悪化が起こるため、終末期医療の選択(在宅・ホスピスなど)が必要になる
- 意識があるうちに、延命治療や家族の方針を話し合うことが重要
- 体力の低下が進むと、身の回りの整理が難しくなるため、早めの準備が必要
家族として、治療や看護の方針を考えつつ、患者の意思を尊重することが大切です。
家族が直面する現実

大腸がんの進行とともに、家族はさまざまな問題に直面します。 「何をすればいいのか分からない」「気持ちが追いつかない」と戸惑うことも少なくありません。
心理的負担と向き合う
大腸がんが進行すると、患者の体調や生活環境が大きく変化します。家族は治療や介護に追われながら、精神的な負担とも向き合わなければなりません。
- 治療が思うように進まないことへの焦り
- 介護の負担や、将来への不安
- 「もっと何かできたのではないか」という後悔
特に末期の段階では、医師から緩和ケアや終末期医療の選択を求められることもあります。このとき、家族全員が意思を共有できているかが、後悔を減らすための大きな鍵となります。
事務手続きの負担
大腸がんが進行し、患者が意思決定できなくなると、家族が医療や介護、財産管理の手続きを行う必要があります。
しかし、多くの家族は何から手をつければよいのか分からず、混乱することが少なくありません。代表的な手続きには以下のようなものがあります。
医療・介護の手続き
- 介護認定の申請(要介護度によって受けられる支援が変わる)
- ホスピスや緩和ケア病棟の手配
- 延命治療の方針決定
財産・相続に関する手続き

- 預貯金の管理や生活費の確保
- 遺言書の有無の確認
- 生命保険や年金の手続き
葬儀・死後の対応
- 葬儀の準備(本人の希望を把握しているか)
- 役所への死亡届の提出
- 遺品整理の開始
事前に家族で話し合い、準備を進めることで、いざというときの混乱を最小限に抑えられます。
遺品整理の負担を軽減するために
患者が亡くなった後、家族は遺品整理に直面します。しかし、精神的にも肉体的にも負担が大きいため、何を優先すべきかを決めておくことが重要です。
遺品整理でよくある悩み
- どこから手をつければよいのか分からない
- 形見分けをめぐる家族間のトラブル
- 価値のあるものと不要なものの判断が難しい
スムーズに進めるためのポイント
- 貴重品や重要書類は早めに整理する(通帳、印鑑、遺言書など)
- 思い出の品は急いで処分せず、時間をかけて判断する
- 遺品整理業者を活用し、負担を軽減する
遺品整理は先のことと思いがちですが、家族で話し合っておくことで、残された人の負担を大きく減らせます。
遺品整理で後悔しないための対策
大腸がんの患者が亡くなった後、家族には遺品整理という大きな課題が待っています。悲しみが癒えないうちに片付けを進めるのは精神的に辛く、何をどのように整理すればよいのか分からないことも多いでしょう。しかし、事前に準備をしておくことで、負担を軽減することができます。
事前にできる準備
遺品整理は、故人が生前に準備をしておくことで、残された家族の負担を大きく減らせます。以下の点について、本人と家族で話し合っておくことが重要です。
- 重要書類の整理:通帳、印鑑、遺言書、生命保険の証書などを分かりやすく保管する
- デジタル遺品の管理:スマートフォンやPCのパスワードを信頼できる家族に共有する
- 形見分けの希望を伝える:どの遺品を誰に残したいかを決めておく
- 不要な物を整理する:生前整理を行い、不要なものを減らしておく
事前にこうした準備を進めることで、家族の精神的・肉体的負担を軽減できます。
遺品整理の進め方
遺品整理をスムーズに行うためには、計画的に進めることが大切です。以下の手順を参考にしてください。
- 貴重品や重要書類(通帳、保険証、契約書など)
- 公的手続きに必要なもの(年金手帳、住民票など
- 必要なもの、形見分けするもの、処分するものに分類する
- 故人の思い出が詰まった品は、無理に急いで処分しない
- 量が多い場合や片付けが難しい場合は専門業者に相談する
- 遺品整理士などの資格を持つ信頼できる業者を選ぶ
- 家族や親族と話し合い、形見分けを公平に行う
- 不用品の処分方法を確認し、自治体のルールに従って処分する
遺品整理で気をつけるポイント
- 無理に急がない:気持ちの整理がついてから少しずつ進める
- 家族で協力する:一人で抱え込まず、親族と分担する
- トラブルを避けるために話し合う:形見分けや相続に関する意見を事前に調整する
遺品整理は、家族の負担になりがちですが、適切な準備と進め方を知ることで、後悔のない形にすることができます。
まとめ
遺品整理は、亡くなった後に家族が向き合う大きな課題の一つですが、適切な準備と計画的な進め方を知ることで、負担を軽減できます。生前の整理や、家族との話し合いを通じて、「いざというとき」に備えることが、故人の意思を尊重し、家族の心の負担を減らす大切な一歩 になります。
事前の準備が不安な場合は、専門家のアドバイスを受けながら進めることも有効です。大切な人の思いを大切にしながら、後悔のない形で遺品整理を行いましょう。
参考文献
大腸がんの基礎情報・進行と症状
国立がん研究センター がん情報サービス
URL: https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/
国立がん研究センター がん統計(最新罹患・死亡・生存率データ)
URL: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/index.html
- 終末期医療・緩和ケア・在宅療養
厚生労働省「緩和ケアと在宅医療の推進」
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188454.html
厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの意思決定支援ガイドライン」
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000197665.html
相続・遺言・重要書類の整理
法務省「遺言・相続の基礎知識」
URL: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00044.html
介護・医療制度・事務手続き
厚生労働省「介護保険制度について」
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index.html